明かりは社会を変えるオイルランプの改良

2011.06.23

古代から使われてきた明かりである「オイルランプ」、そして「たいまつ」の後継者であるロウソクは、根本的には改良されないまま中世まで使われてきた。オイルランプが大幅に改良されていったのは14世紀から16世紀にかけて興ったルネサンス以降である。その最初は、イタリアのジローラモーカルダーノ(1501〜1576)が考えたオイルランプである。カルダーノは著名な数学者でもあり医者でもあるという、自然科学の誕生以前にはしばしば見受けられた万能の人であった。彼の考えた「カルダーノーランプ」は、油壷を灯芯よりも高い位置に設置した方式で、オイルを自動的に供給することができ、明るく長時間の点灯を可能にした。従来のオイルランプは燃料と灯芯とが密接していたのに対して、カルダーノーランプでは距離を離して燃料と灯芯を完全に分離したのである。つぎの重要な改良は、いまから考えれば当然と言えば当然のことなのであるが、ガラス製のホヤ(火屋)であった。このランプはフランスの薬剤師アントワーヌーカンケが1784年に発明したと言われる。しかし、ジョルジュードーラートゥールがそれよりも100年以上も前に描いた「聖ヘテロの涙」のなかに、ロウソクの入ったガラス製ホヤつきランプがすでに描かれている。よくある話であるが、実際には名も知れない、しかし創意工夫にあふれた多くの人たちがホヤを発明したのだが、たまたまカンケの名前だけが後世に残ったと考えたほうが真実に近いかもしれない。ともあれ、ホヤは風による炎のちらつきを防ぎ、かつ炎の明かりを遮らないため、オイルランプばかりでなくロウソクの実用性をおおいに高めた。この「透明の容器のなかに光を発する部分を閉じ込めた明かり」という基本コンセプトは、「白熱ガス灯」「白熱電球」「白色蛍光灯」に受け継がれ、今日まで使われている。大発明だったと言えよう。