山積みにされた建築雑誌や専門書や、設計図を入れた円筒形の容器などが雑然と散らかる中で、それは唯一つつましやかにこの家の女性の存在を物語っていた。引き出しの中には、いくつかの小さな箱に分けられてアクセサリーが入っていた。ごく細い金の鎖につけられたロザリオ、小粒のパールのネックレス、ビーズで編んだような小さな指輪……。それはサンゼフが少女の頃から大切に持ち続けていたアクセサリーのように思え、なぜだが少し、胸が痛んだ。気がつくとすっかり日が暮れていた。一緒に夕食をというふたりの申し出に、私はキッチンの食卓に座った。シャンフランコがスパゲッティをゆで始める。サントラはキッチンの横の方に置かれた棚から何かを取り出している。それは真っ白な麻のテーブルクロスだった。彼女がテーブルの上に広げると、その白さに小さなキッチンはパッと華やぎ、新たな空間が出現した。正装の食卓だった。そこには小花の刺繍があるだけの純白のクロス。しかしきっぱりと糊づけされ、ひとつのシミもないその無垢な美しさは、これから始まる食事を特別な時間に変えてくれそうな予感がした。よく磨かれたグラスと水差し、銀のアンティークのカトラリー。
[参考サイトのご紹介]
AVIREX通販サイト
http://www.avirex.jp/
フライトジャケットについて
http://www.avirex.jp/fs/avirex/c/FlightJacket