勉強とは別の頭を使う

2011.09.08

翌年の一月中旬にG君は来談した。正月は外出せず、もちろん初詣でにも行っていない。だが、正月番組をつい見てしまって気持ちが焦った。だが、大体は勉強をしていた。抗不安薬は、試験中に「また頭のなかで音楽が流れたらどうしよう」と不安を感じた時に飲むと、一時間くらいで効いてきた。はっきりと不安だと思ったのが一度、何となく不安だと思ったことが二度ほどあったということである。症状の程度と頻度について詳細に語る様子にも、G君の几帳面な性格がよく表れていた。几帳面さは完全癖と同様に強迫神経症的な症状におちいりやすい性格の表れである。G君は休憩の大切さを一応は理解したようだが、その方法は極端なものだった。「朝から一時間一五分やったら1〇分休むことにしています。休み方は、目をつむって横になったりして、それをずっと続けていました。テレビや音楽を見たり聞いたりするわけではないです」勉強と休憩にメリハリをつけたのはよいのだが、休み方にもう一工夫ほしいところだ。「気分転換を積極的にはかることが、G君の場合、特に大切だよね。つまり、横になって頭を休めるだけではなくて、マンガを読んだりして勉強とは別の頭を使うと、もっとリラックスできるかもしれないので、計画的にやってみてください。そして、たまに薬を使い、副作用の眠気がないことが確かめられたら、試験日に飲んでもよいでしょう。たとえ多少眠くても、パニックになるよりは、よっぽどよい結果を生むのではないかな」カウンセリングはこんな感じで進められた。二月初旬。G君は集中力を回復した。追いつめられた気持ちもなくなった。「また、頭のなかに音楽が鳴り出すのではないか」という不安はあったが、センター試験を何とか切り抜けた。それ以後は「治るような感じがしてきて、薬を飲まなくても大丈夫だった」そうである。